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「彼を知り己を知れば百戦危うからずって、昔の中国の偉い人が言ってただろ」
「偉い人……始皇帝とか?」
「まあだいたいそのへん」
「孫子ですな、諸子百家の」
「そうだっけ? オタクはさすがに詳しいな」
「いやーそれほどでも」
「で、具体的には作戦てどんなん? オレ、あんま時間とれねーけど」
烏龍茶をがぶ飲みしながら、福沢が尋ねる。
「テーマは『命短し恋せよ乙女』だ」
大星が切り出すと、5人の頭上にいくつものクエスチョンマークが浮かぶ。
「弱い軍が強い軍に勝つにはどうするか、戦術以外のところで勝負をしかけるしかないだろ。ようするに、心理戦だ。揺さぶりをかけて、先制攻撃。これに尽きる」
「揺さぶりって、どうするんだよ?」
「いい質問だ」
テレビ番組の司会者のように、大星は福沢をストローで指す。
「おい、コーラ飛んだぞ」
「悪い。いや、それはともかくさ、ここで大事なのは情報だよ。情報がこの作戦の生命線だ。お前らの人脈をフルに使ってもらうことになるからな。どういうことかっつーと――」
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