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姫様の後を追ったわたしは、靴が脱ぎ捨てられているのを拾い、次に会うときに返そうと心に決めました。
用意していたネックレスは一旦持ち帰り、代わりに姫様の忘れ靴を一流の靴屋に磨かせ、きらびやかな装飾をつけ、今夜見た美しい青のドレスに合う靴を贈ろうと考えていましたが。
「かの国のお姫様は、それはもう馬車が大好きで、綺麗で愛くるしい花に囲まれたら、どんなに喜ばれることでしょう」
メイドがそう言うので、わたしはその通りに馬車を用意し、再びパーティーへと赴きました。
「姫様、ちょっとこちらへ」
「なんでしょう?」
姫様を外へ連れ出し、馬車を見せました。
「まあ、なんというか……その、」
姫様は喜んでいるのか、困惑しているのかわからない表情をしていました。
それもそうです。
わたしはこの初恋の前ではあまり考えることができなかったらしく、よくよく考えれば最初の贈り物が馬車だなんて可愛さの欠片もないことです。
「これは忘れてください。また改めてきちんとして贈り物をいたします」
「でも私は王子様がくれるものならなんでも…………王子様!?」
わたしは馬車を置き去りにして、恥ずかしいのを隠そうとそのまま走り去りました。
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