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また姫様は元気はつらつな走りを見せて去ってしまいました。
わたしの受け答えがいけなかったのでしょう。
もっときちんと、はっきりと伝えないと。
メイドに相談すると。
「前に王子様が仕立て直した靴をお返しして、自分のお心を正直に仰ればきっと大丈夫でしょう」
こんな素晴らしい助言をもらっては感謝だけでは足りないと思い、今度兄に良き計らいをとお願いし、私は再びパーティーの席で姫様に声をかけました。
「姫様、前にお忘れになった靴をお返しします」
「これは…………」
「姫様のドレスに合うように靴を豪華に仕立て上げました。さあ、どうぞお履きになってください」
「とても嬉しいのですが、その…………あのときの靴は片方だけになってしまったので処分してしまって…………」
「なんと!」
どうやら初恋の病は重症らしく、こんな簡単なことにも気づけなかったのです。
それはそうでしょう。
片方無くしたらもう片方は捨てるでしょう、誰でも。
「これは忘れてください。また機会を改めて今度こそ姫様に喜んでいただきます!」
「でもこの靴に合うものを新しく新調すれば、私はとても嬉し…………王子様!?」
わたしはもう二度と失敗はしまいと心に誓い、パーティーを抜け出して城に戻りました。
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