王子様とお姫様

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王子様とお姫様

ああ、なんということでしょう。 かの国の王子様とお近づきになり、お互いに贈り物をすることになってしまったのですが。 パーティーの席でお渡しする予定ですが、何にすればいいのかわかりません。 侍従に聞くところによると、王妃様が体調を崩さぬよう、また最近お生まれになる弟君の為に暖炉の薪を自ら用意しているとか。 その健気な愛に幾度目かの恋に落ちながらも、私は斧を梱包し、王子様に手渡すと。 「斧……ですか。これは変わった物を」 王子様は驚きに満ちた顔を浮かべ、そのまま一本の柱みたいに固まってしまいました。 なんということでしょう。 私は恋の病で我を忘れてとんでもないものをお渡ししてしまいました。 「これは忘れてください。もう一度機会を改めてお願いします」 「でもわたしは姫様がくれるものならなんでも……姫様?!」 私は何を喋ったのか覚えておらず、王子様が何かを仰る前にダッシュでパーティー会場の階段を2段飛ばしで疾走しました。 途中で靴が脱げましたが、振り返らずに、私の真っ赤な顔を見られないように逃げ帰りました。
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