くろとしろのちから

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しかし、そんな幸せな時間は長くは続きませんでした。 この不思議な力に溺れた人々は少年の元に集まり、何度も何度もその恩恵を受けようとしました。 しかしこの不思議な力を使うことで、少年になんの影響もない訳ではなかったのです。 何度も何度も力を使ったあとの少年は酷く疲れた顔をしていました。 だけど、心優しい少年は笑顔をたやさず、人々のために力を使い続けるのです。 次第に人々はその少年の優しさにつけこみ、さも少年が自分達ために力を使うのは当たり前かのように扱うようになりました。 少年に好きなものなど与えず、少年の力を求めるようになりました。 少年の体調を気遣うものなどほとんどいません。 ただひとり、同い年のひとりの少女を除いては。 少年と同じ村で同じ年に生まれた少女は、少年を心から心配していました。 そんなに無理をしてないでと言っても、少年は人々のためだからと聞いてはくれません。
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