窓ガラス

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年に2,3度しか行かない店なのに、ドアーのイカツイ感じの男も、露出度の高い派手な服(?)を着た、バーテンダーのお姉様達も、俺の顔を見ると、二ッコリ笑い、握手やハグを求め、スキンシップな挨拶を済ませる。 初めて娘をそのライブハウスに連れて行ったのは、娘がまだ10歳に成るか成らないか位の時だと思う。  カナダとスコットランドのバンドのライブに娘を連れて行きたくて、年齢規制のあるライブに無理を言って、入れてもらった。 「今夜は、来ると思ってたよ、リョウ。 ミーちゃんは来てないの?」 「年頃だからね。」 「あら、残念。 じゃあ、サービスしなきゃ。」 その店のオーナーであり、バーテンダーでもあるジェニーはダブルのラムとコークを大きめのブラスティクのカップに合わせる。 そしてウィンクを投げ、カップの縁まで、ラムを継ぎ足した。 糖分とアルコール、今夜のエネルギー。 バーのカウンターにもたれ、それを飲みながら、辺りを見回す。 スキンへッドはいないようだ。 ステージから3メートル程離れた所で、14、5人がマッシュピィットを作り、中学生位のカップルがステージ横の壁にもたれ、唖然とした顔で、バンドとピィットを見ている。 そのセットが終わると、天井のライトが点いた。 俺の目当てのバンドまでにはまだ1時間程あるので、回りを見渡す。 懐かしい雰囲気。 空気が少し張り詰めている。     
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