1人が本棚に入れています
本棚に追加
マッシュしていた奴らは既に居なくなっていたが、ライブ慣れしてない感じの若い子達がステージの前に集まり始めている。
その中に、左の膝を矯正し、細い杖を持っている子がいる。 16、7歳位だろうか。
その華奢な女の子は、ステージにしがみ付いてはいるものの、立っているのがやっとのようで、危なっかしく、その子から目が離せなかった。
友達とか彼氏とかいないのかと、しばらくの間、その子の辺りを見ていたが、その様子が無い。
新しいバンドが演奏を始める。
その子は左手を突き上げながら、ボーイシュに切られた髪の頭を大きく前後に振り、何か叫んでいる様だが、もちろん、その声は聞こえない。
俺がその子位の時には、何時もアミが側にいたと思う。
無茶をするアミを何度床から起こし上げただろうか。
笑ったアミの横顔が脳裏に浮かぶ。 懐かしさに、自分の顔が緩んでいるのが分かるが、それと同時に少しノスタルジックに心が痛い。
そんな事を思い出しながら、ステージに目をやると、まだその子はステージ前に立ち、頭を振っている。
ピィットが大きく成り始める。 俺はバーを離れ、その子の4、5メートル程の所に立ちながらバンドを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!