空の果ての境界線

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そう思うんです。彼女がそう言い終わる頃、流れ星が一つ落ちた。誰かが、流れ星が落ちている時に三回願い事を唱えることが出来たらその願いが叶う、なんて言っていた気がする。それが本当だろうが嘘だろうが、彼女の願いは、きっと叶わないだろう。だって、(空に果てなんか、ないんだから。) 「地球は太陽を回ってるんだから、太陽が昇らない事なんてありえないだろ。」 「ふふ。何当たり前の事言ってるんですか?」 彼女は、また笑った。悪戯をしている子どものような笑い方にも聞こえた。彼女は「でもそしたら、兄弟と一緒に死ぬこともないって事ですね。」と付け足した。それは残念だ、とでも言いたげに。でも、どこか可笑しそうに。 「でも、もし私が空の果てへ行けて、その時あなたが一緒にいてくれたなら、」 手先から、彼女の体温が俺の身体に移ってくる。眠たいのだろうか、いつも以上に温かいその身体を、腕で抱きとめる。彼女は、すべてのものが一つになる事は出来ないと話したけれど、なんとなくその言葉が嫌で、俺は力強く強く彼女を抱きしめた。これで、一つになれたら、なんて、馬鹿げたことを頭の片隅に浮かべながら。 「私は、兄弟ではないあなたと、一緒に死にたいんです。」 でもどうしたって俺と彼女が一つに混ざりあう事なんてできなくて、まるで俺たちの関係そのものが、漸近線のようだと言われているような気さえした。
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