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お袋
高校生になってから、私達の離婚で転校をさせてしまったあの子。
転校で寂しい思いをさせるんじゃないかと、不安だったし、実際にあの子はしばらく元気が無かった。
だけどテニス部に入ってから気の合う仲間に会えたみたいで。
初詣に行くまで仲良しの友達が出来たことに、ホッとした。
今年のお年玉は、前のように一万円を渡せなかった。
一つ上のお兄ちゃんと半分、みたいな形だけど。
それでも渡せて良かった。
お兄ちゃんは今もファミレスでバイト。
あの子もコンビニで自分のお小遣いの分だけでもと頑張ってくれている。
高校生の楽しい時期に、苦労を掛けさせるなんて親としてどうなのか。
そればかりを迷って、後悔して、嘆いてしまう。
だけど、離婚しなければもっと辛かっただろう。
我慢して、耐えて。悲しむ私を見せるのは、子供にとって何より悪影響だろうから。
夜勤も無事に終わったことだし、あの子も元気に帰って来たことだし、お兄ちゃんには悪いけどちょっと休ませて貰おうかな。
今の横にある和室で布団を敷き直していると、家のチャイムが鳴った。
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