1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
堪忍袋
おかあさんの作ったお雑煮が食べたくて、私は部屋から出た。
チャイムの音に、げっ、と思う。
やだな、家のお客さんなら面倒だ。
多分、おじいちゃん達の友達とかだろうし。
もー、こんな時に留守だし、近所の神社で長居してないでよね。
接客はバイトだけにしておきたいんだから。
だけど、おかあさんが出てくれたみたいで玄関の音がする。
良かった。
一先ず部屋に戻ってお客さんがいなくなるのを待とう。
そう思ったけど、聞いたことのある声がした。
両腕に鳥肌がたつような嫌な空気に、廊下をきしませないように慎重に足を進める。
階段のところまで行って、そっと覗くと、ほらやっぱり。
あの人、おとうさんの新しい女だ。
格好も毛玉一つなくて身綺麗で、髪の毛もストレートにしているし、動作も普通だと思う。
何も分からなく初めて会った時も、ネイルについて話してくれたし、流行にも乗り遅れてない。
だけど、気持ち悪い。
おとうさんの女ってだけで、なんか…。
生活感のないところも余計に、おとうさんの女って感じで気持ち悪い。
.
最初のコメントを投稿しよう!