2人が本棚に入れています
本棚に追加
第四章
涙に潤む瞳を無視して
君の手首を掴まえる
少しでも瞬きしたら
その頬を濡らすだろう
君にはどう映っているのか
今の俺の表情はどんなものなのか
なみだにしかいがじゃまされて
あなたのひょうじょうがわからない
いまどんなかおをしているの
なにをかんがえているの
なみだににじむしかいが
あなたとのきょりをさえぎるから
わたしはゆっくりとまぶたをおろした
僅かに赤く染まる頬を
一すじ涙が伝う
閉じられた瞼はゆっくりと
俺を見つめようと持ち上げられていく
それをずっと見ていたかった
どんな目で俺を見返すのかを知りたい
同時に掴まえた手首の力が緩んで
抵抗する意志を失ったのを知る
もういちどまぶたをあけてみようとする
しかいをじゃましていたなみだは
ひとみからこぼれおちた
うっすらとうるむしかいのおくに
みつけたあなたは
ひどくさみしそうだった
最初のコメントを投稿しよう!