第四章

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顔を傾けて唇を少しだけ開けると 君の唇を柔らかく食んだ ぴくりと驚くのを期待していたかもしれない 俺は構わずに君の唇を食むのを繰り返す 逃げない君に気をよくして 応えようと開けかけた唇に舌を触れさせた 途端に体を怖ばわせるから 掴んでいた手首を離して 涙で濡れた頬を指先で撫でた 涙を拭うフリをして 君の頬の丸みを確かめるように 俺はその間も口づけをやめなかった さみしそうにみえたあなたのかおが めのまえにせっきんして わたしはどうしたらいいのか わからなかった ふれられたあなたのくちびるが こわいくらいにやさしくて あけかけていたまぶたを もういちどおろした ときどきあなたのといきが わたしのくちのなかへはいりこんでくる あついといき きすをしてる あなたときすを してる せんさいにほほをふれてくるゆびづかいに わたしのしこうはたもてなくなっていた 体の力みを失うのと 君が立てなくなっていくのと 微かに溢した君の甘い声 腰を引き寄せて抱きしめた さっきよりも距離がつめられて 唇の奥に佇む舌先を 俺は見つけた 行き先を知らない君の舌を 俺の求めに応じてくれている 君の想いを 全部を自分のものにするんだ 俺の愛を知ってもらうために この口づけで知ってもらうために その気持ちの強さに 君が逃げようとしたら 片手でうなじから上を支えてやる 俺の舌で君の口内を撫でつけて 吐息を漏らす間さえ与えてやらない
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