第一章

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第一章

空に月があるように、君に夢があり 俺でさえ変わらない夢を追い続けている。 守りたいもの、守ってあげたいもの それを壊さないようにただただ願い続けている。 空に月があるように、君のそばにいたい 夜の帳が降りても君をあたためてあげられるだろう。 冬の空には君のように迷子な月がいて この俺を見下ろしていた。 寂しいの……寂しくなんかないの…… 思いつきで君の声を再生する。 進むべき軌道に乗った月のように 決められた道筋を追い求めているのかい。 流れては消えていく時に身を任せて 一刻一刻、俺から離れていくんだろう。 心が軋んで悲鳴を上げそうになる時 空にはまた形を変えた月が俺を見下ろす。 ねえ、君もこの月を見つめているのかい…… 俺を思い出して見上げてくれているだろうか。 息を白くするほどの冷たい風が髪を梳く 逢いたい想いを宥めるように。
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