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「あっくんももう6歳になったんだから、お年玉をあげようね」
お年玉?
「あっくんには必要ないだろ」
お年玉ってなに?
「あら、でもせっかくのお正月なんだし。お年玉があったほうが、お正月らしいじゃない」
「いやー………でも」
「いいじゃない、年に1回なんだもの──はい、あっくん、お年玉よ」
にこにこしながらおかーさんが僕に差し出したものを見て、僕は腰を抜かしそうになった。
こ、
こ、
これは………!
僕は知っている。この灰色の紙は、自分の欲しいものと交換できる、魔法の紙なのだ。きっと紙に書いてあるヒゲのおじさんは、この魔法を発明した魔法使いなんだ。
僕は震える手でおかーさんから魔法の紙を受け取った。
「ありが、とぅ」
緊張のせいで変なイントネーションになってしまって恥ずかしかったけど、おかーさんは嬉しそうににこにこ笑ってた。
僕には夢があった。
この紙を手にした今、その夢は叶えられる。
紙をしっかりと握り締めて、僕は外へ飛んでいった。
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