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「させるか!」
「ゾイさん!」
「さあ、早くエン様の下へ」
間一髪、ゾイが攻撃を防ぐ。只ならぬ気配を感じ取り、イツキの意識は全てゾイへと向けられた。
「貴様は……その剣、見覚えがあるぞ。そうか、東国の英雄だな?」
「大将軍に覚えて貰えるとは光栄だ」
イツキは構えを解き、ゾイも剣を下げて呼吸を整える。
「その覇気、私の一撃を受け止める実力……面白い。東国の英雄よ、私の配下となれ。小さな世界に囚われず、共に天下を掴もうぞ」
「断る! むさ苦しい男と戦いに明け暮れる日々なんて、想像しただけで吐きそうだ」
「では、聞こう。前に立つ理由はなんだ? それほどの実力があれば、相当高い位に即く事も可能なはずだ。大臣の地位でも約束されたのか?」
「位などに興味はない。そして、前に立つ理由はただ一つ。心優しき少女との誓いを果たす為だ」
ゾイが間合いに飛び込み、激しい打ち合いが火花を散らす。エンの時とは違い、イツキは真剣な表情で剣を振るった。
「まさか、ここまでとは! 実に惜しいぞ。十年後ならば、私を超えるやも知れぬ逸材だ」
「くそっ、こいつ……隙が無い」
初めは互角の勝負を見せていたゾイだが、次第に押されていく。
トウマが動くと、リュウイが阻む。
側近兵では近づく事すら出来なかった。
そんな状況を打開するべく、エンが傷付いた体起こす。
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