44人が本棚に入れています
本棚に追加
「レナ……私の剣を……」
「エン兄様?」
「早く……このままでは……」
レナは辺りを見渡し、落ちていた剣を拾って手渡す。そして、エンはイツキに狙いを定めた。
「面白かったぞ、東国の英雄よ。だが、ここまでだ」
イツキの攻撃が加速する。ゾイは受け止めきれず、体勢を崩して倒れ込んだ。
「さらばだ」
「今だ!」
ゾイに攻撃が届く寸前、エンは残された力を使って剣を投げつける。
「グッ!?」
剣が脇腹に突き刺さり、イツキの気が薄れた。その隙を逃さず、ゾイは渾身の力を込めて薙ぎ払う。
「なん……だと……」
一閃。ゾイの剣がイツキを斬り裂いた。
「国王の座に就くのは……この俺だ……。誰の下にもつかぬ……誰にも邪魔はさせぬ……我は……大将軍イツキなるぞ!!!」
断末魔の叫びを上げたイツキは、天を掴もうと手を伸ばし倒れる。
「なっ、馬鹿な!?」
予測を覆されたリュウイは、一瞬だけ隙を見せた。それをトウマは逃さない。
「終わりだ、リュウイ」
鋭い一撃を浴びた体から、血しぶきが飛び散った。
「まっ、まさか……フフッ、フハハハハ! 面白い余興でした。トウマ……人がいる限り、争いは無くなりませんよ……」
リュウイは崖に身を投げ、残されたイツキの部下は武器を捨て跪く。
トウマとゾイは剣を収め、レナの下へと走った。
最初のコメントを投稿しよう!