死闘

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「レナ……私の剣を……」 「エン兄様?」 「早く……このままでは……」  レナは辺りを見渡し、落ちていた剣を拾って手渡す。そして、エンはイツキに狙いを定めた。 「面白かったぞ、東国の英雄よ。だが、ここまでだ」  イツキの攻撃が加速する。ゾイは受け止めきれず、体勢を崩して倒れ込んだ。 「さらばだ」 「今だ!」  ゾイに攻撃が届く寸前、エンは残された力を使って剣を投げつける。 「グッ!?」  剣が脇腹に突き刺さり、イツキの気が薄れた。その隙を逃さず、ゾイは渾身の力を込めて薙ぎ払う。 「なん……だと……」  一閃。ゾイの剣がイツキを斬り裂いた。 「国王の座に就くのは……この俺だ……。誰の下にもつかぬ……誰にも邪魔はさせぬ……我は……大将軍イツキなるぞ!!!」  断末魔の叫びを上げたイツキは、天を掴もうと手を伸ばし倒れる。 「なっ、馬鹿な!?」  予測を覆されたリュウイは、一瞬だけ隙を見せた。それをトウマは逃さない。 「終わりだ、リュウイ」  鋭い一撃を浴びた体から、血しぶきが飛び散った。 「まっ、まさか……フフッ、フハハハハ! 面白い余興でした。トウマ……人がいる限り、争いは無くなりませんよ……」  リュウイは崖に身を投げ、残されたイツキの部下は武器を捨て跪く。  トウマとゾイは剣を収め、レナの下へと走った。
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