死闘

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「エン様、すぐに手当てをします。誰か、早く医者を!」 「トウマ……レナは無事か? もう……目が霞んで……見えないんだ……」 「うっ……うっ……わ……私は……ここにいます……」 「そうか……良かった……。レナが無事ならば、この国は安泰だ……」  止め処無く溢れる涙が頬を伝う。 「そんな、エン兄様……死んじゃ……嫌だよう……私を一人に……しないで……」 「大丈夫だ……レナには……心強い味方がいる……。トウマ……この国は……争いが無くなるだろう……だが……まだ、お前の力は必要だ。後は……頼んだぞ……」 「お任せ下さい……必ずや……ご期待に……」  トウマのかすれた声が耳に届き、エンは微笑みを浮かべる。  そして、静かに息を引き取った。  総大将を失ったイツキの軍は降伏し、レナは兵を纏め光国へと引返して行く。  勝利も敗北も無く、その光景は悲しみに包まれていた。
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