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アパートの廊下側からバリケードで補強されたドアを、銃声に惹きつけられたアパートの住人の成れの果てのゾンビ共が、飛び回るヘリコプターの音に負けないくらいダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンと乱打する音が響く。
アパートの上層階角部屋の窓からストリートを見下ろした彼の目に、アパートの周りに屯して彼に腕を伸ばすゾンビの内の何体かが、ヘリコプターの音に惹かれたのか学校の方へ歩みだすのが映る。
足止めする別な音をゾンビに提供する為に、テーブルの上に置いてあったスマホを手にして画面をタップ。
メインストリートから伸びる脇道の奥から、爆発音が周囲に響き渡る。
目をストリートに戻すと、移動を始めていたゾンビの何体かが爆発音が鳴り響いた方へ移動するのが見えた。
突然無線機から声が迸る。
「此方救出部隊、ファーストサージャント聞こえるか?」
「聞こえている」
「作戦は無事完了した。
本当に君を救出しなくて良いのか?」
早朝から始まった救出作戦が昼前の今終わったようだ。
「ああ、俺の為に危険を冒さないでくれ。
頭に撃ち込む弾以外にも大量に備蓄していた弾丸を、奴らに撃ち込み使い切りたいからな」
「そうか…………、君のような腕の良い狙撃手なら、こんな世界になった今、引く手数多だと思うのだが、え!?貴方! 貴方でしょ? 私!、ジェーンよ」
キャプテンの声に割り込んで、女の声が無線機から飛び出る。
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