2 ーゲームスタートー

7/13
前へ
/70ページ
次へ
美咲が出発して5分後、雫が待つ3番線に発車メロディーが流れた。 「次は私ね。」 雫は優しくルーレットを回すとカタカタと音を立てながら6で止まった。 「6だ!」 雫はワクワクしながら路線図を見た。 「映画を観る? なんだろう? 楽しそう!」 雫を乗せて列車はゆっくりとホームを出発した。 ガタゴトと心地よいリズムに揺られながら、雫はのんびりと車窓を眺めていた。 「あ、電車停まってる。 一ノ瀬君かな? 美咲ちゃんかな?」 二駅目が見えてくると停車している列車に気付いた。 「うわー! 素敵ー! この曲知ってるー。」 海沿いの特設会場から聞こえる 『ポル・ウナ・ガベーサ』 の切ないメロディーが聞こえてくると美咲はステージに釘づけになった。 ヒラヒラとスカートをひるがえしながら男性のリードに身を任せ、何組ものカップルがタンゴを楽しんでいた。 雫はうろ覚えの 『ポル・ウナ・カベーサ』 を口づさみながらのんびりと列車の旅を楽しんだ。 「映画館。 映画館に到着いたします。 上映時間は二時間弱となります。 ごゆるりとお楽しみ下さい。」 電車を降りた雫の目の前にはよく行く映画館が建っていた。 「ふふふっ。」 映画館に入ると、内装も全く同じ事に雫は笑ってしまった。 恋愛映画のチケットを購入すると、ポップコーンとジュースを手に雫は上映会場へと向かった。 『ギイー』 と音を立てながら中に入ると、雫はど真ん中の一番いい席に座った。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加