4人が本棚に入れています
本棚に追加
照明が暗くなり、暗闇に慣れた頃スクリーンから強烈な光が放たれた。
目がくらんだ雫は反射的に両腕で顔面を覆った。
暫くして明かりに慣れた雫はそっと腕を下ろし、ゆっくりと目を開けた。
「え? えええー!?」
雫は見た事のない街中に立っていた。
「何? 何何何何!?」
雫の周りは悲鳴を上げながら右へ左へ走り回る人たちで溢れていた。
『ドンッ!!』
誰かにぶつかり雫はよろめきながらショーウィンドーにもたれ掛った。
「痛ったー。」
雫はぶつかった腕を擦る。
「ドン! ズル―ドン! ドン!」
背中に衝撃音を感じ、雫は後ろを振り返ると恐怖で数歩下がった。
「嫌だ! 何これ…。 どうなってるの?」
雫の視線の先には至る所から血を流しながら白く濁った眼で気怠く窓ガラスを叩く女がいた。
大っ嫌いなゾンビ映画を思い出した雫はガタガタと震えた。
目の前の女性に気を取られていると今度は強烈なタックルを食らい、地面に叩きつけられた雫は軽い脳震盪を起こした。
身体中に強烈な激痛を感じた雫は一気に意識を覚醒させた。
「痛い! 痛い痛い痛い!!」
余りの痛さに身体を動かそうとするが何かに押さえつけられているのかピクリとも動かなかった。
自由に動くのは頭だけ。
雫は頭を上げ痛む胴体を見た。
「ひいぃぃぃー!! 嫌だ! 嫌だ嫌だ!! 痛い! 痛いよ!!」
身体のあちこちからは肉が剥がれ血がドボドボと流れていた。
そしてそれをムシャムシャと食べている人間達がいた。
最初のコメントを投稿しよう!