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「にゃははは。 なにそれー、かなりウケる。」
老舗旅館の宴会場で向かいの席に座る 「藤嘉 美咲」 は上品とは言えない笑い方でビールに手を伸ばした。
「美咲ちゃん。 飲み過ぎだよ。」
その隣で苦笑いをするのは 「和泉 雫」 彼女も頬を赤く染めながらチビチビと酒を飲んでいた。
「いやいや、藤嘉も和泉も飲み過ぎだし。」
岳の隣でウーロン茶を飲み続ける 「一ノ瀬 剣」 はひたすら料理を食べ続けていた。
岳はそんな3人に構う事無く、ふたを開けた。
「うお!? マジで!?」
岳は目に入ってきたゴーグルに期待が膨らんだ。
「え? なになに!? マジ!? これVRゴーグルじゃね!?」
剣は横から覗き込むと見覚えのある形に驚いた声を上げた。
岳はごそごそと箱の中を漁るとヘッドセットを4つ取り出した。
「あれ? ソフトとかゲーム機が入ってない?」
「そうなの? せっかく4つあるから、やりたかったのにー。」
美咲は頬を膨らますとブーブーと文句を吐いた。
「説明書とかねーの?」
「えっと…。 あ、ゴーグルの中にソフトがインストールされてるみたい。 てか、説明書厚すぎて読みたくないんだけど。」
数センチはあろうかと思われる分厚い取扱説明書はゴトっと音を立てながら畳の上に置かれた。
「こんなの電源さえ入れればどうにでもなるだろ。」
「そうだよ! やりたいやりたい!!」
「美咲ちゃん。 落ち着いてー。」
美咲がキャッキャキャッキャと興奮し始めると、雫が美咲の背中を擦った。
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