4人が本棚に入れています
本棚に追加
シグナルが消えると剣はギアを入れアクセルを限界まで踏み込んだ。
5番手を走る剣は集中し、順位を1つずつ上げる。
10周周りきり11周目に入ると剣は違和感を感じた。
それは直線を抜け、最初のカーブに差し掛かったころにハッキリと分かった。
「ブレーキが利かない!!」
剣はアクセルから足を離し、何度もブレーキを踏んだ。
焦った剣はギアをローに落としギリギリでカーブを曲がりきると目の前の光景に言葉を失った。
「え?」
さっきまで前を走っていた1台がクラッシュして炎上していた。
剣は余あまりの衝撃にブレーキの事など吹き飛び散乱した部品を避けながらレースを続けた。
2位に浮上した剣はトップになる事しか考えられなくなっていた。
11週目を回りきると剣はトップを走っていた。
そしてトップスピードを維持したままカーブに差し掛かるとブレーキを踏み込んだ。
「あっ!!」
ブレーキが利かない事を思い出したが時既に遅く、曲がりきれずにクッションドラムに突っ込むとそのまま横回転を繰り返し部品をまき散らしながら停まった。
剣は朦朧とする意識の中でシートベルトを外すと車から出ようと試みた。
「助けて! 誰か…助けてくれ!!」
足が挟まりうまく抜け出せない剣はパニックを起こし叫び続けた。
背中からの衝撃音と熱風に火が出たと気付いた剣は更にパニックを起こした。
「嫌だ! 助けてくれ!! 誰か!!」
剣は恐怖で泣き叫びながらじたばたと痛む足を動かした。
挟まっていた足が外れている事にも気付かず、剣は逃げられない恐怖に怯えていた。
黒い煙が視界を遮り爆発音と強烈な衝撃波に剣は意識を手放した。
最初のコメントを投稿しよう!