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すると、バサバサバサっと気配を消していた鳥が驚いて飛び立った。
智衣はじんわり浮かんでくる涙を、袖口でゴシゴシと拭う。
お母さんに袖口で拭いちゃダメって言われているのに、涙を拭った。
だって、前が涙でかすんで見えなくなるから。
じんわり浮かんだ涙を拭うと、ジンジンする膝小僧がさっきまで耳にいたドキドキを引き受けたように、騒ぎ出す。
それでも智衣は大事そうに抱えたお年玉袋をもって、ノロノロ立ち上がった。
怖くて、痛くて、寒かった。
足が痛くて走ることが出来なくなって、ずるずると歩いていく。
そして、石畳を進んでやっと賽銭箱までたどりついた。
ちょっと背伸びしないと届かない賽銭箱。
そこへ、お年玉袋をそのまま入れた。
耳を澄ますと、賽銭箱の中で微かにコトンと落ちた音がしたので、ほっとして血が滲んだ手を合わせた。
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