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昼食を済ませると屋敷をプラプラと散歩する。
分厚い雲のせいで室内は薄暗く、雨音はランタンを持ち歩いていた。
どんよりと重苦しく薄気味悪いはずの屋敷内も、あんなに恐ろしいと思っていたエドワードも夢のおかげで怖いとは思わなくなっていた。
一階から二階、三階に屋根裏まで探索するとまた一階に戻った。
雨音は書斎の扉の前で立ち止まる。
そこは初めて彼に会った場所であり、唯一雨音が避けていた部屋でもあった。
ゆっくりと扉を開けると中を覗き込む。
誰もいない事を確認すると一歩足を踏み入れ、グルリと周りを見渡した。
重厚感のあるこげ茶色の机には琥珀で作られた万年筆とインクポットが綺麗に揃えられていた。
室内の真ん中にポツンと置かれたソファーに腰を下ろすとエドワードの匂いが鼻をかすめる。
その優しい香りに安堵し雨音は誘われるまま眠りについてしまった。
「………。」
陽が傾き始めた頃、仕事をしに書斎にやってきたエドワードはあり得ない光景に言葉を詰まらせた。
どうするべきか悩みに悩んだあげく、雨音を起こすのは可哀想だとそのまま寝かせておくことに決め机の上に置いてある手紙の束を手に取る。
一枚開けては読んでいくが、目の前の雨音が気になって全く内容が入ってこない。
座ったまま眠る雨音はユラユラと今にも倒れてしまいそうだ。
エドワードはため息を1つ吐くと手紙の束を手にソファーに移動する。
雨音の隣に寄り添うように腰を落とすと、今度はしっかりと手紙を読み進めた。
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