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『トクン…トクン…』
触れた腕から感じられる鼓動がエドワードをリラックスさせていく。
いつもは憂鬱で仕方が無い仕事も今日はスイスイと進んでいった。
返信の手紙を書く時も、机には戻らずに本を下敷き代わりにした。
『トンッ』
雨音の頭が肩に寄りかかるとエドワードはクスリと笑う。
「…旦那様。 何をされているんです?」
新たに届いた手紙の束を手にジャビスが開いた扉の前で立ち止まっていた。
「………。」
返事に困ったエドワードは動揺を隠し、手紙を受け取るため手を伸ばす。
ジャビスが手紙を渡し書斎を出て行くと、エドワードは苦笑いを浮かべ仕事を続けた。
「…。 寝ちゃった!?」
雨音は目を覚ますと立ち上がり室内を見渡した。
部屋の主がいない事を確認するとホッとため息を吐く。
ボッと熱くなる顔を両手で押さえると、恥ずかしくなり書斎を出て行く。
『バタン』
扉の閉まる音が聞こえると、エドワードは隠れていた机の下から顔を覗かせた。
雨音に気付かれなかったとホッと息を吐くと自分がしていた可笑しな行動に笑いが込み上げた。
椅子に座り直し手紙を手に取るが、仕事をする気にもなれず机に戻す。
ふと、目に入った時計にエドワードは立ち上がり口元を緩めながら書斎を後にした。
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