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「フィルムを寄越せ。どこに売るつもりだ、『グラフィック』か、『フォトプレイ』か?」
「もう売約済みさ。チャールズ・R・ロジャースと広報担当のアンディ・トーンは、あんたの浮気症とホモ癖が治ったかどうか見極めて、他の黒髪を雇うか考えたいそうだ」
彼を雇う愉快なユニヴァーサルの重役は、確かにそう約定した。ありのままの通告に、ハンサムは半狂乱。健気なセックスドールの献身的な制止がなければ、今頃奴のタックルは俺を地面に叩きつけていただろう。
そうなる前に腕を引かれ、こけつまろびつ侵入を歓迎した従業員入り口へと疾走した。カエデと紫の花を咲かすジャカランダが重なりあう樹林へ分け入り、黒人のコックとメキシコ人の召使いしか通らないような木の扉を飛び越え、トゥーローン・ドライブを遁走する。愛車のモスグリーン色をしたクライスラーのエアフローに押し込まれるまでの間、自らの荒い喘ぎばかりが鼓膜を擦っていた。
だめ押しのだんまりで断交するジャンプは、事務所に到着するまでむっすりと無視を続けた。帰還しても洗面所兼便所へ直行し、しけた写真を現像しに行く。
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