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「泣いて脚へ縋り付けって言うのかよ」 「私への謝罪はいらん。ホエールに頭を下げてこい。キャンベルの写真、明日の昼には間に合うか」 「俺を誰だと思ってる」  受話器を置きざま、ふと思う。俺は一体、何様だ? 虚栄とはったり、挙動不審な破廉恥漢。頬を伝う滴を舐めれば、腐った血、と言うよりクソの味がした。  ワイルドターキーへ別れを告げる勇気を見いだせない内に、ジャンプは仕事を終了させた。ゲロを吐きそうな現像液、酢臭い澄まし顔。人の手からターキーを奪い、対面のソファに埋まる。 「写真は問題ない」  グラスに指二本分注げば、七面鳥は死んだも同然。コーク材のコーヒーテーブルに、殆ど空の瓶が返された。 「そっちは?」 「『プリンス・オブ・ホエールズ』のご機嫌を取れと。お前も付いて来い」 「なんでだよ」 「怖いんだ、ケツを掘られたくない」  正直に申告しても、奴はここぞとばかりの哄笑を堪えなかった。 「噂じゃ奴の好みは金髪碧眼の溌剌タイプらしいな。ぴったりじゃないか。せいぜい愉しんで来いよ」 「死んでやる、死んでやる、死んでやる。お前を撃ち殺したあと、舌を噛みきって、手首と喉を切って、死んでやるんだ」     
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