新春お年玉争奪戦線

9/9
前へ
/9ページ
次へ
「それでは、発表していきます。まずは珠子様。得票数は2票です」 会長の忠志様と、お姉ちゃん大好きな淳志様の票でした。 「続きまして、雅志様。得票数は1票です」 当主の仁志様の票です。雅志様はがっくりと項垂れてしまいました。 「そして、清子様。得票数は2票です」 珠子様と雅志様の票でした。プレゼンターが、最も票を集められなさそうな人に投票するのは、予算委員会では定石ですね。 「というわけで、最も得票数が多かったのは、3票を獲得した、淳志様です!」 一斉に拍手が巻き起こる中、まだ納得できない雅志様が、口を開きます。 「どうするのさ、俳優は呼べないんだろう?ヒーローショーに100回行くのか?」 すると、淳志様に投票したマツ様が言いました。 「ゴールデンウィークにイベントがあるでしょう?ほら、そこのショッピングモールで。あれの主催者名簿に、私も載っているの。今度、イベントの会議で提案してみるわ。仮面ライダーを呼んでみたらどう?って」 「あらお義母(かあ)様、実は私も、街のイベントで仮面ライダーをご招待すればいいんじゃないかって思っていたんです」 幸子様は、喜んでマツ様に同意しています。 「仮面ライダー役の俳優って、今超人気のあの人でしょう?わたしも会ってみたい」 清子様は、どうやらイケメン俳優に夢中のようですね。 マツ様、幸子様、清子様の3票を獲得し、お年玉は、淳志様の手に託されることになりました。今回の予算委員会、金額が大きいこともあって、いつにも増して盛り上がりましたね。それではまた来年、お会いしましょう。松の内の寿家は、司会の家政婦、佐藤和美がお送りいたしました。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加