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新年の夕餉の後の、ささやかな余興。一昨年の仁志様や会長はそう考えておられたようですが、子どもたちにとっては一大事でございます。何せ、貰えるはずのものが、貰えなくなる可能性があるわけですから。それに、名家のお年玉ともなると、金額もかなりのものです。
「さて、そろそろ始めてもらおうかな。和美さん。お願いします」
仁志様のその言葉で、子どもたちの背筋がぴんっと伸びました。
「それでは、第三回、新年予算委員会を始めさせていただきます」
一族の皆様が注目される中、大広間の壇上に立つのは、やはり緊張いたします。
「今回、親族の皆様からいただいたお年玉の総額は、ちょうど100万円でございます」
それを聞いた子どもたちは、どことなく落ち着きがありません。去年と比べて金額の桁が一つ上がったからでしょうか。
「例年どおり、寿家の御令嬢、御子息で、この100万円をどう使うのか、プレゼンしていただきます。審査員の皆様と、プレゼンしたご本人たちを合わせて8票。最も多く票を得た方が、100万円を獲得します。票が割れた場合は、一位が決まるまで投票を続けます。プレゼン中は私語厳禁。プレゼン後、質疑応答の時間を設けますので、プレゼンターに質問されたい方はその時にお願いします」
簡単なルール説明を済ませ、わたくしは壇上から降りました。
プレゼンの順番は年功序列。トップバッターは、長女の珠子様です。今年で大学二年生になられる珠子様は、容姿端麗、成績優秀と、まさに才色兼備を絵に描いたような方でございます。噂によると、ミスキャンパス最有力候補なのだとか。今年はどんなプレゼンをなさるのか、楽しみでございます。
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