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「そうね…仮面ライダーに、ウチに来てもらうってのはどうかしら?お年玉は、ギャラとしてお支払いするというのはどう?」
淳志様の代わりに、幸子様がご提案されました。
珠子様が、すかさず反論します。
「仮面ライダー役の俳優に来てもらうということかしら?少し前の仮面ライダーならそれも可能でしょうけど、現役の俳優は、ギャラを払えば来てくれるというものでもないでしょう?スケジュールも詰まっているだろうし、仮面ライダーを自宅に招くという母上の提案は、正直、実現不可能だと思います」
「そうだそうだ!仮面ライダーなんて、一年もすれば別の俳優に変わるんだ。仮に我が家に呼べたとしても、ポッと出の若手俳優に、僕たちのお年玉をすべて渡すなんて、賛成できないね」
珠子様も雅志様も、思わぬダークホースに冷静さを失っているようでした。いつになく怖い顔の姉や兄を見て、淳志様は今にも泣き出しそうです。幸子様は、淳志様を庇うように壇上から降りました。
「さて、四人全員のプレゼンが終了したので、十分後に投票を行います。当然ですが、プレゼンをされた方々は、自分に投票することはできません。よく考えて、自分以外の人に投票をお願いいたします。また、審査員同士の相談も禁止です。談合が発覚した場合は投票権を剥奪いたしますので悪しからず」
司会のわたくしには投票権はありませんが、誰が誰に投票したかを見ることはできます。それが、わたくしのささやかな楽しみの一つでもあるのですが。
十分後、投票が開始されました。わたくしが用意した小さな箱に、次々と二つ折りにされた紙が入れられていきます。合計8票。枚数を確認し、いよいよ結果発表です。
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