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『なんだ珍しい。異国の女か。』
「きゃわん、やっと会えた!やーん、ほんとにあったんだ!ていうか存在したんだ」
『まったく。レアモンスターみたいに言うものじゃない』
「え?レアアイテムには違いないですよね。鏡って」
そう。彼女の前にあるのは鏡。姿がすっぽり映る鏡。
『何を言うか。わしにはちゃあんと名前がある。よいか、わしの名は』
「あなたの名は………」
『かがみさん、じゃ』
「………。」
美女は困ってしまいました。
鏡さん。鏡さんが名前。それじゃあ呼ぶときは。
「かがみさんさんですか」
『お前は馬鹿か。かがみさんじゃというとろうが』
美女は頭を押さえ、どうしたもんかと思い悩み、はっ、と自分がここに来た理由を思い出しました。
「えっと。かがみさん、ですね。うーん。さくっと用件済ませていいですか?」
『なんじゃせっかちじゃの。最近はわしとゆっくり話をしようというおなごはなかなかいないんだからのう。寂しい限りじゃ。』
ぽりぽり。
「いやその。船頭さんを待たせてるんですよ。早く帰らないと置き去りにされちゃう」
『ここで暮らせばいいじゃろ』
「やなこったい!」
『イケズ』
「それ日本語ですよね」
………。
『そんなに大事かのお。顔なんぞが。』
そう。彼女は。
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