鏡よ鏡、鏡さん

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鏡は厳かに答えます。 『それはあなたです。あなたは世界で一番美しい。』 「やった!」 彼女はうれしさのあまり、鏡の前でくるくるくるり。 『と思ったけど今まで会った美女の中では中くらい。』 「そう、中くらい。えっ?」 鏡に映るミスジャパンの姿がにじみ、金髪の美人が映し出されました。それが今度は茶髪の、次には肌の黒い女性と紙芝居の様に、にじんでは次にじんでは次と映し出されていきます。 『わしは既に3000と333年生きておるから。出会った美女の数は数知れぬからねえ。でもすごいじゃないか、中くらいにいるのだから。自慢できるよ』 鏡が体を震わせて笑います。 まあ鏡が小刻みに揺れてるんだけど。 「ば、バカにするなああ」 真っ赤なゆでだこのようになった美女は小屋を飛び出していきました。 懐中電灯も点けずに走り去るその姿をぼんやり眺めて、鏡は思います。 『バカはどっちだ。あと30年もしたら顔にはしわが寄って白髪が出る。自慢のウォーキングも出来なくなるかもしれないんだよ。それよりも』     
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