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「難儀なかがみさん。
でもなんで教えてあげないの?貴方の映すのは外見じゃなく、心なんだって。走っていく彼女の後ろ姿しか見てないけど、結構綺麗な人だったよ。中身」
『お前の目には見えないものが見えるからねえ。そのお陰で魔女からも逃げられたし、薄のろ王子の手にも落ちることなく、この森に隠れとったわしを見つけられたんだものなあ。
だけど普通の人間には見えないんだよ。そういうコンテストはやってないし、測りようがないから』
白雪姫は部屋の隅に置かれた椅子を鏡の前に持ってきて座り、もいだばかりのリンゴを一つ取ってがりりとかじり始めました。
『さて、今日は何の話をしようかの?』
白雪姫は鏡に向かって言いました。
「なんでもいいわ。かがみさんが話したいと思っている話。
かがみさんの話したいこと、いくらでも話して。
私はここで聞いているから。
いつまでも一緒にいるわ。
この世で最も厳しくて甘い、パリス審査員長どの」
そう言ってにっこり笑いました。
ここは森の中。
シュバルツバルトを抜けて………。
完
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