いかないで

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「私、知ってる、の、よ」 「知ってるって何を?」  お姉ちゃんの声は、とぎれとぎれだけど、その声がだんだん大きくなっていく。 「春樹の、入学前の検、査で、不治の、病って言われた、んでしょ!」 「あんた、どこでそんな事を」 「お父さ、んとお、母さん、が、ソファで話、してるの、を、聞いちゃっ、たの」  僕が「ふじのやまい」?そんなの、僕は聞いていないよ。 「あんた、それで急にあんなに」 「そうよ!それま、では、春樹ばっかり可愛がら、れて、悔しかっ、たけど、でも、居なくなるか、もって思ったら、、急に悲し、くなって、」 「馬鹿だなあ、秋絵は」 「馬鹿ってな、によ!」  怒っているようなお姉ちゃんと違って、お父さんは笑っているようだ。 
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