2.原案(あらすじ)

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 目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。  空の様子を見る限り現在は夕方のようだが?  ――いや。見えているこの光景を、本物だとは思わない方が良い。  時間的な情報や天気すら、コンピューターによって創られた偽物かもしれないのだから……。    Augmented Reality 略してAR。日本語では拡張現実と表現される現実世界にCGを重ね合わせた謂わば強化された現実。  スマホアプリ用のゲーム、ポケットモンスターによって老若男女かまわず多くの人が知ることになったその技術だが、2022年にコンタクトレンズ型の端末が登場して以来、一気に世の中に広まった。  ゲームもたくさん開発されたのだが、ファンタジー世界を自宅や街中で展開するのは危険が多く、可能なことは限られる。  そこでそういったゲーム専用の施設がたくさん造られるようになった。  スマホの普及では出歩くことの減った若者達だが、ARゲームを本気で楽しむためには外に出るしかない。  結果、健康にも出会いにも消費にも繋がるのだから、AR施設は国からも大いに推奨されている。  そして大手番組制作会社によって、ARゲームを利用した企画が開催された。  参加者は100名ほど。  会場は取り壊しの決まっている大規模施設。  期間は3日間で、その間参加者達は、人や動物をゾンビ化させるウィルスが蔓延した施設内で過ごすことになる。  見事、迫り来るゾンビ達から逃げ延びることができたら賞金10万円。  ただしビルの秘密を解き明かすことができたら、その額は一気に1,000万円まで跳ね上がる。    売名目的や純粋に愉しみたいという目的で参加している人達が多いのだろう。  だけどわたしは違う。  どうしても1,000万円が必要なのだ。  もしも1,000万円が手に入らなければ、わたしの人生は終わってしまう。  だからこうして、ゲームオーバーのリスクと戦いながら、様々な場所を探索して回っているのである。
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