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好きだって言ってくれた男の子が、好きだって言ってくれた理由を噛み締めながら、私は歩く。彼と手をつないで。
ギクシャクギクシャク。
(つないだ手が熱い!)
小指だけ絡めてるけど、脈打つ。
ドキンドキンドキン…。
彼をチラッと見上げたら、全身真っ赤で、ロボットみたいに動いてる。
(この人…ホントに私が好きなんだ)
彼の不器用さが心に染み渡った。
…初めてのデートは動物園。
いや、日差しが痛い。
熱が出そう。
(お茶飲みたい…って言っていいのかな)
「あのう…喉かわかない?」
恐る恐る伝えると、藤ケ谷くんの首が不自然に曲がり、こっちを見た。
更に真っ赤!
つられて私が真っ赤!
「しょ、食堂に入る?」
「え、自販機でいいよ」
私は指差す。
「あそこなら日陰にベンチもあるし」
私たちは並んで自販機の前に立つ。
藤ケ谷くんが硬貨を入れた。
「押して」
「え」
「好きなの押して」
「え、でも…」
動物園の入場料も強引に出してくれたのに、お茶もなんて…
「おごりたいんだ」
かすれた声で言う藤ケ谷くん。ふと見たら凛とした横顔が男っぽかった。
「今日、付き合ってくれてありがとう」
藤ケ谷くんが続けて言う。
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