第2章 はじめてのデート

5/7
477人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
好きだって言ってくれた男の子が、好きだって言ってくれた理由を噛み締めながら、私は歩く。彼と手をつないで。 ギクシャクギクシャク。 (つないだ手が熱い!) 小指だけ絡めてるけど、脈打つ。 ドキンドキンドキン…。 彼をチラッと見上げたら、全身真っ赤で、ロボットみたいに動いてる。 (この人…ホントに私が好きなんだ) 彼の不器用さが心に染み渡った。 …初めてのデートは動物園。 いや、日差しが痛い。 熱が出そう。 (お茶飲みたい…って言っていいのかな) 「あのう…喉かわかない?」 恐る恐る伝えると、藤ケ谷くんの首が不自然に曲がり、こっちを見た。 更に真っ赤! つられて私が真っ赤! 「しょ、食堂に入る?」 「え、自販機でいいよ」 私は指差す。 「あそこなら日陰にベンチもあるし」 私たちは並んで自販機の前に立つ。 藤ケ谷くんが硬貨を入れた。 「押して」 「え」 「好きなの押して」 「え、でも…」 動物園の入場料も強引に出してくれたのに、お茶もなんて… 「おごりたいんだ」 かすれた声で言う藤ケ谷くん。ふと見たら凛とした横顔が男っぽかった。 「今日、付き合ってくれてありがとう」 藤ケ谷くんが続けて言う。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!