第2章 はじめてのデート

7/7
477人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
二人でぶらぶら歩く。 「バクでかっ」 「私、この子のぬいぐるみあるよ。一緒に寝てる」 「へー」 「抱き枕だから大きいよ。すっごい気持ちぃよ。意外と筋肉質で固いの」 「…筋肉質で固い抱き枕…気持ちいい」 妙に考えこむ藤ケ谷くん。何故かむせている。 「え?なに?」 「いやいやいや」 藤ケ谷くん、大慌て。何故か真っ赤だ。 「かわうそ、かわいー」 「だじゃれ?」 「いやいやいや」 お昼ご飯。 「まさか、お弁当?」 「うん。あ、好き嫌い多い?」 「ない!北山さんが作ったら絶対ない!」 「ほとんどお母さんが作ったんだけど、でも卵焼きと唐揚げ当番は私。あ、あとうさぎりんごは私。おむすびはツナが私、梅がお母さん」 「ツナどれ」 「ハートの形の海苔がツナだよ」 「ツナもらう」 藤ケ谷くんが私のおむすびを食べ始めた。 涙目になっている。 「うまい」 「ホント?」 「うん」 嬉しそうなので、私も嬉しい。 (でも梅むすびを食べてくれそうにないから、これは私が食べよう) パクッと頬張っていたら、藤ケ谷くんの手が伸びてきた。 (え?) 「ごはんつぶが唇の端っこについてるよ、ほら」 藤ケ谷くんが取る。 「北山さん、甘えっ子」 そのまま食べてしまう藤ケ谷くん。 (たまに子供っぽいのに、時折大人…) 藤ケ谷くんのアンバランスさにキュンッとする。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!