第4章 はじめてのお弁当

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「ああ、赤城が羨ましいなー。クラス一緒だし、隣の席だし」 「…(隣の席だけど膝は乗らないよ、フツー)」 「あ、今度の日曜日、水族館行こうか?」 藤ケ谷くんがのぞきこんでくる。 「シャチのぬいぐるみ、見に行こ」 「だめ!」 …だめ!と言ったのは私ではない。 藤ケ谷くんの後ろにいきなり立ったジャージ姿の美人だ。 「俊哉!」 (え、俊哉って、藤ケ谷くんの下の名前…だよね) 「バスケの練習日だから!水族館なんかいかせないよ」 「わあ、マネージャー!」 ショートカットの美人は藤ケ谷くんの耳を引っ張った。 「いだだだ…痛い」 「デートなんて、百年早いわ!試合に集中しろ!」 美人は私をまっすぐ見た。 「北山ありすさんだっけ?」 「は、はい」 「こいつ、彼女出来たって、浮ついてるけど、スポーツ推薦だからね。部活の成績は絶対落とせない。 誘惑しないでよね」 「え、誘惑なんてしてないです」 思わず、ムッとする。 (なんなの、この人!) 「放課後も朝も土日も部活だから。 うちは県内屈指の強豪なの。 彼女と遊んでる暇はないよ、藤ケ谷! あんたの友達の蟹枝草太や鰍沢東吾はともかく、あんたは推薦で大学も行くんだから、女の子とつき合うなら、社会人になってからだ!」 「やだ!」 藤ケ谷くんがマネージャーを睨んだ。 「俺、北山さんと別れないからな! 北山さんも俺と別れるな! 部活と北山さんなら、俺は北山さんをとる!」 「…」 どうしよう…
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