第4章 はじめてのお弁当

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「世界中の何よりも俺はあなたをとるから!」 「…」 私は呆然と、藤ケ谷くんとマネージャーさんを見る。 (バスケうまいって聞いてたけど、高校はスポーツ推薦……) でも。 (大学まで推薦予定なんて知らない。 どこに住んでるのかも 好きな食べ物も) そう。私は。 (なんにも知らないんだ) このマネージャーは中学の頃の藤ケ谷くんも知っている。 きっと何もかも知ってる。 『藤ケ谷は、今が一番大切な時だから』 (大学にはスポーツ推薦進学、そしてプロの道……。そんなおおきな目標があるんだ) それなのに。 「俺が一番大切なのは北山さんだけど?」 かすれた声で藤ケ谷くんが言う。 「初めて会った時、合格発表の日。 俺は推薦だから、友達の合否が気になって見に来てたんだ。 蟹枝と鰍沢はチームメイトだからね」
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