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「…」
「駅から、おばあちゃんの荷物持って、ニコニコしながら出てくる女の子がいて」
「…」
「すげえかわいいなあって思って」
(え)
「それ…もしかして…私?」
「そうだよ…見知らぬお婆ちゃんを助けていた北山だった」
「……」
「おばあちゃん、階段の上で、みかんの入ったビニール袋が破れちゃって。
北山さんはそれを全部拾って。それからコンビニで買い物して、ビニール袋もらって、おばあちゃんにあげてたよね」
「…」
「高校に入学したら、入学式で、新入生代表は、北山さんだった。
学年トップの秀才だから、俺には縁遠い人だ。
でも。
北山さんが友達とじゃれていて。やっぱりニコニコしてて」
「…」
「ずぅっと笑いながらみんなの話聞いてる北山さんは、かわいくて優しい女の子で」
「…」
「勇気があって前向きで謙虚で」
藤ケ谷くんが私を見てる。
「北山さんを好きになって、毎日見てた。
毎日毎日見てるのに、北山さんは俺に気づいてなくて…一度でいいから目を合わせたかった。
告白したらオーケーで、動物園行ったら隣に並んでくれて。昼ご飯一緒に食べたら楽しくて、北山さんといると癒される。安心する。
俺に頑張れとかしっかりしろって言わない。
ありのまんま、あるがまんま俺を受け入れてくれた。
俺は北山さんが好きだ。
もう他人には戻りたくない」
「…」
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