第4章 はじめてのお弁当

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「…」 「駅から、おばあちゃんの荷物持って、ニコニコしながら出てくる女の子がいて」 「…」 「すげえかわいいなあって思って」 (え) 「それ…もしかして…私?」 「そうだよ…見知らぬお婆ちゃんを助けていた北山だった」 「……」 「おばあちゃん、階段の上で、みかんの入ったビニール袋が破れちゃって。 北山さんはそれを全部拾って。それからコンビニで買い物して、ビニール袋もらって、おばあちゃんにあげてたよね」 「…」 「高校に入学したら、入学式で、新入生代表は、北山さんだった。 学年トップの秀才だから、俺には縁遠い人だ。 でも。 北山さんが友達とじゃれていて。やっぱりニコニコしてて」 「…」 「ずぅっと笑いながらみんなの話聞いてる北山さんは、かわいくて優しい女の子で」 「…」 「勇気があって前向きで謙虚で」 藤ケ谷くんが私を見てる。 「北山さんを好きになって、毎日見てた。 毎日毎日見てるのに、北山さんは俺に気づいてなくて…一度でいいから目を合わせたかった。 告白したらオーケーで、動物園行ったら隣に並んでくれて。昼ご飯一緒に食べたら楽しくて、北山さんといると癒される。安心する。 俺に頑張れとかしっかりしろって言わない。 ありのまんま、あるがまんま俺を受け入れてくれた。 俺は北山さんが好きだ。 もう他人には戻りたくない」 「…」
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