第4章 はじめてのお弁当

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「ずっと俺の彼女でいて」 そう言われた時、頷けなかったのは… (私、藤ケ谷くんのために何もできてないから) 私はそのあと、さらに遠山先輩に呼び出された。 そして「あたしの方が、藤ケ谷の為になってる!」と言われた。 「藤ケ谷のためにも、バスケ部のためにも、高校のためにも付き合いをやめて!」と。 「すごいっすね!」 呼び出されて、黙って聞いていた私の後ろにいつの間にか赤城くんが来ていた。 「高校の名誉のために、彼氏と別れる彼女っているのかな。 第一、北山さんと別れたら、藤ケ谷がバスケに集中できて、うちの高校が総体優勝になるなんて、遠大な予想すぎやしませんか」 遠山先輩は赤城くんに怒鳴った。 「あんたは、野球部よね、野球部にバスケ部は理解できないでしょ!黙っててよ」 「俺はバスケはわかんない。でも、藤ケ谷の友達だし、同じ男だから、よくわかる」 赤城くんは私を見た。 「北山さんが彼女なら、萌えるでしょ」 「なっ…!」 慌てた私は、わたわたと手をふる。 「ないないないない!」 赤城くんは、クスッと笑う。 「もし、北山さんが俺の彼女で、俺が甲子園とか出たら、この人、俺より喜んでくれそ」 「…」 「俺が悔しい時とか苦しい時、黙ってそばにいてくれそ。 なんか、俺より俺でいてくれそ」 「…」 「ねえ、北山さん。 藤ケ谷は、役に立つ彼女が欲しいんじゃないよ」 「赤城くん…」 「ありすが欲しいんだ」 「…」 「ずっと好きだったんだ。今更文句言われてたまるか」 赤城くんのまっすぐな瞳に気圧される。 「ぶ」 赤城くん、吹き出す。 私の頭をくしゃっと撫でた。 「藤ケ谷の気持ちだからな」 くしゃくしゃくしゃくしゃ。 「わあ、やめてよ、赤城くん!」 「さらっさら!気持ちイ~」 「やーめーてー」 「いいわ、北山さんの毛並み」 「犬じゃないんだから!」 「猫でもいいな。『にゃんにゃん』って言ってみな」 「絶対言わない!」 ぎゃあぎゃあ言いながら、じゃれあう私たちを見て、遠山先輩は苛立った。 「私の方が藤ケ谷を愛してる!」 「…」 「十年間、好きなんだから!ポッと出のあんたに負けない!」
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