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白い息を吐く。
君に誘われて、夜、散歩に出た。
何もかもが嫌になった僕を君はただ優しく笑って空を指す。
僕はその指を追うように空を見上げた。
南東の空にはオリオン座が上っている。
君は両手を前に出すと左手をひっくり返して四角い指のフレームを作って構えていた。
君の頭越しに見える星空に光る一筋の流れ星。
「見えた?」
君は笑って僕を見た。
「見えたよ」
そう答えると君は両手を広げた。
「今日だけ流れ星のプレゼントでーす」
君の後ろでまた星が流れた。
あぁ、そっか。今日は流星群だったのか。
そう現実を思いつつ、その光に心奪われた。
「明日、いいことあるといいな」
僕は、星空に吸い込まれたままそう呟いた。
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