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……。
振り返ると……。
彼は跪き、何かを手に乗せこちらに差し出していた。
次第に行き交う人々が私達二人を気にし始める。
「和泉知華さんっ!俺とっ結婚してくださいっ。愛してるっ。大事にするからっ!……ね?知華これでもまだ、信じてくれない?」
『 俺、本当に無理だからな、期待するなよ。公衆の面前でプロポーズだなんて。公開処刑みたいなこんな真似…… 』
そう言ってたのに……。
「ばか……」
鼻がツンと痛くなり目の奥が熱くなる。
ゆっくりと彼に近付いていった。
ふわふわと雲の上を歩いてるようで。
どんな返事をしようかと、考えるだけで胸が一杯になって。
言葉にならずに私は彼に左手を差し出した。はにかむ彼が薬指に指輪を嵌めてくれる。
「俺からのクリスマスプレゼント」
『内緒。当日まで楽しみにしていて。……受け取ってくれると嬉しい』
……これの事だったんだ。
内緒だなんて……。
「ばか。凄く嬉しい……じゃない……」
「受け取ってくれて、良かった。あのまま俺のこと無視して帰っちゃったらどうしようかと内心冷や冷やで、それこそ本当の公開処刑になるとこだったよ」
ほっとして笑った彼の目尻のしわまで愛しい。
気付けば、ただ偶然そこに居合わせただけの見ず知らずの人達が、拍手とどよめきと笑顔で私達を祝ってくれていた。
目立つのが大嫌いと言っていた、その彼もまた掛けられた言葉に満更でもない笑顔で会釈を返していて。
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