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「ちょっ、ちゃんと人の話聞けって。彼女もこれからデートなんだって!だからそういう格好だってしてたんだろ?」
「……だったらどうして一緒に来てるの?駅まで走って来てくれなかったってことでしょ?私をずっと外に待たせておいて、それ知ってて彼女と悠長に歩いてきてたってことでしょう?」
「そ、それは……ちょっと、相談があって……」
急に口ごもる洋太は怪しい以外の何者でもない。
今は彼と冷静になんて話合える訳もなく。
好きだから、大好きだからこそ余計にその裏切りがとても許せない。
「……とにかく今日は帰るっ。暫く……ごめん、連絡取りたくない。顔も見たくないし声も聞きたくないから」
「えっ、ちょっ待てって。知華っ!おい知華って!」
考えてみたら、最近ずっと変だった。
スマートフォンを慌てて閉じたり、落ち着きなかったり。
あの挙動不審はずっと浮気を示していたのか。
一体いつから……。
クリスマスイブに失恋なんて、最悪過ぎて笑っちゃう。
イルミネーションを見る為に周りは幸せそうなカップルばかり。
この中で多分私か一番不幸のどん底。
「知華っ」
幾ら呼ばれたって振り向いてなんかやらないんだから……。
悔しくてただ真っ直ぐに駅に向かって足を進める。
「和泉知華さんっ!」
ちょっと、なに人のこと公衆の面前でフルネーム呼んでんのよ!?
恥ずかしくってさすがにそれは止めさせようと振り返った。
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