第1章

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「え、あの…」 「俺は仕事がある。他の方全員に挨拶したら俺に報告しろ。」 そう言うと、森下は自分の席に着きパソコンとにらめっこし始めた。……まるで、吉沢には興味すらないという感じに。 「……っ…」 吉沢は、その姿を少し睨むように見て…自分が今までいかに周りに恵まれていたのかを実感していた。 ---正直なところ…ここまで吉沢に興味がない人間は初めてだったのだ。 今までなら男も、女も…少なからず吉沢に興味を示していた。今考えれば顔が良くて、話しやすいぐらい…たったそれだけのことなのに、吉沢の周りにはいつも人がいた。 だから吉沢自身、初めての出来事に頭がついていかないのだ。 しかし、黙っていては何も進まないので…吉沢は自分の席から立ち上がると唯一名前を覚えることが出来た部長の真田のところへ向かった。 「お仕事中失礼します。」 そう一声かけると…いかにも優しそうな品のいい叔父様みたいな人がこちらを振り返った。 「あぁ、君だね。僕たちのイベント企画部に配属された新人君は。」 「はいっ!吉沢亘と申します!今日からこちらでお世話になります。ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが精一杯頑張ります。よろしくお願いします!」
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