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「…それじゃあ、お前は原田のとこで詳しい話を聞いてくれるか?あの人なら何でも教えてくれるだろ。」
「…え?」
てっきり、これからは森下が何でも教えてくれると思っていた吉沢は、拍子抜けしたせいで変な声を漏らしてしまった。
「言ったろ?俺は忙しいんだ。新人に付き合ってる暇はないし、新人に一から仕事を教えるなんて面倒な真似したくない。一通り学んで、ここで何をするのか理解したらまた来い。」
そう言うと、またパソコンと向き合ってカタカタと作業をし始めてしまった森下に、吉沢は少しイラッとさせられていた。
---いや…アンタ、俺の教育係なんじゃないのかよ!?…と。
でも、これで吉沢にはハッキリとした事があった。……この人はやりたくて自分の教育係をやっているわけではないということを。恐らく…上司の人とかに無理矢理押し付けられた仕事なんだろうな、と冷静に分析していた。
「あの…原田さん……」
そんな事を考えながら、原田のところへ向かった吉沢。原田はと言うと…苦笑いで吉沢を迎え入れた。
「…聞こえてたよ。俺が教えればいいんだよね?大丈夫、任せて!俺は人に教える事は嫌いじゃないからね。」
苦笑いからニッコリ笑顔に変わった原田を見て、吉沢もホッとしたのか挨拶の時に見せた綺麗な笑顔が自然と溢れた。
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