第1章

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原田は森下の同期で、後輩の面倒見が良いことで有名だった。 森下が面倒がって教えない部分は丁寧に説明するし、気さくで話しやすいところが後輩からは人気だった。 別に、森下という仕事が出来すぎる同期さえいなければ、それなりに仕事は出来るから全く申し分ないのに…森下と比べられると劣って見えてしまうために上司からもあまり期待されて来なかった。 ……だから今回の教育係にも抜擢されなかったわけだ。 けれど、森下は教育係は確実に原田に任せた方が後輩は育つだろうと見ていたために同期の原田にその役目を渡した。……まぁ、一番は自分の仕事を滞らせないという理由ではあるが。 「はい!よろしくお願いします!!」 綺麗な笑顔を見せた吉沢は元気良く挨拶をした。 そんな笑顔に、男ながらも少しドキッとさせられた原田は慌ててパソコンへと目を移し、説明を始めた。 「…森下からは少しは話聞いた?」 「あっ、はい。イベント企画のための会場準備とか…色んな面からイベントを支える?みたいな話は…」 と、モゴモゴ話す吉沢に原田は苦笑い。……これはちゃんと説明してないし、こんな様子では、森下がキレて自分に任せた理由も分からなくもない…と、少し納得した原田。
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