第1章

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「そうだった!…俺たちが担当するのはそのイベントの企画だね。会場はどこでやるのか、どのくらいの規模で行うのか、どれを売りにしたいのか…そういうクライアントの意向を受けて、どんな風にイベントを企画していくのかを考える。…だから、今森下はすごく忙しいんだよな。」 そう言いながら森下の方に目を向ける原田の視線を追って、吉沢も森下に視線を移した。 「俺たちも会場の下調べとか、実際にイベントを行った時にどのような人材が必要かってのはやってるけど、森下はクライアントの要望に一から答えてイベントを企画してるから、俺たちより何倍も忙しいんだわ。…役に立てることはするようにしてるけどさ。」 まるで遠くにいる人を見つめるような原田の姿に、吉沢は改めて森下が凄い人物で、同年代からも一目置かれる存在なのだと認識した。 ---そのような存在なら余計に気に入られたい、何としてでも振り向かせたい…と吉沢の思いが募った瞬間でもあった。 「…じゃあ、森下さんはめっちゃ優秀で皆さんから尊敬される存在で…会社の期待の星みたいな、そんな感じなわけですね。」 と吉沢が言うと…何故か原田は居心地の悪そうな顔をすると吉沢の耳元で呟いた。
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