第1章

19/26

541人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「それはさ…見てわかるだろ?……森下は仕事はできるけど愛想が全く無いんだ。自分で何でも出来ちゃうから、まず周りを頼ったりしない。で、多分出来ない人の気持ちが理解出来ないんじゃないかな?…だから、新入社員が結構辞めたりした時期もあったな…。」 遠い目をしながらその時期を思い返している原田に吉沢は純粋に疑問をぶつける。 「……そんな人が何で新入社員の教育係なんか…」 「それは会社の期待だろうなぁ。…だから森下も大変だと思うよ。ただでもデッカいプロジェクト任されてさ、それに新人の教育係なんてね?…まぁ、俺は今森下にいいように使われてるわけだけど…別に嫌な思いはしてないんだよな。」 ---やっぱり……上から言われて仕方なく引き受けた教育係だったんだなと納得した吉沢だったが、目の前の原田というただのお人好しの言うことが理解できず、すかさず質問を返した。 「…どうしてですか?別に自分の仕事でもないのに、無理矢理こんな仕事押し付けられて…」 「まぁ、確かにそうだよな。……でも、俺もさ…森下がいかに努力してきたかは知ってるし、期待されるだけの実績は上げてるってわかってるから。だから不思議と俺も応援してるんだろうな、一同僚として。」
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

541人が本棚に入れています
本棚に追加