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ゴミ箱の周りに落ちたティッシュの山。
床に散乱する服とペットボトル。
台所に散らかった食器やフライパン……。
「いただきます。」
ーーーただ、唯一綺麗な机の上に載せられた料理は、周りに映えているのかとても美味しそうに見える。
「……美味いな、自分で言うのもなんだけど。」
そして満足そうな笑みを浮かべる彼は、森下礼央。今年で三十路を迎える。
いつものようにビールを片手に、自炊した料理を美味しそうに食べる。……これが彼の夜の日課だ。
「ご馳走さまでしたっと…あぁ、片付け面倒だな……。でも食器とかフライパン洗わねぇと明日の朝何も作れないからな…。あぁ、食器洗浄機本当に買おっかな。……それとも家政婦でも雇うか?いやいや、料理されたら困るしな。金の無駄だ。」
ブツブツと独り言を呟きながら、重い腰を何とか持ち上げ台所へと向かう。
「あぁ、本当に怠い。明日も忙しいから早く風呂入って寝たいのに。」
などと文句を言いながら、皿洗いを始める森下。…水が冷たいのか、ただでも目つきが悪いのにさらに眉間に皺を寄せていて、余計に目つきが鋭くなっている。
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